back 理事長 相沢英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2012.08.17リリース

第百三十回 <竹島は日本>
 竹島に初めて韓国の大統領が入ったという。竹島が日本の領土であることは自明であるとわれわれは思っているが、韓国は現在も事実上支配していることでテコでも譲る気配をみせない。
 そもそも他人の領土にのこのこ出かけて自分の土地だといって家を建てたりすることの不法なことは言うまでもないが、それが竹島に関しては、まかり通っているかのごとく見えるのは、何と言っても不当である。
 私は、竹島を目の前にした鳥取県を選挙区とし、山陰漁業対策自民党国会議員連盟の会長をしていたし、現在も全国まき網漁業協会の会長をしているので、竹島の問題は深く関心を持っている。かつて、自民党の広報副委員長として韓国を訪ね、崔国務総理に表敬訪問の際、竹島問題を持ち出し、先方のアジア局長を含めて、議論をしたことがあった。
 アジア局長は具体的な過去の事例を述べて、竹島が韓国のものであることを力説していた。当時は当然それに反論を加えていたが、先方は急に一枚の古地図を持ち出して、これを見よという。それには竹島は韓国の一部となっていたが、監修者は日本の幕末の学者林子平となっていた。そんな地図を彼が作っていたことは聞いたこともなかったし、何よりも突然のことなので、取り敢えず、林子平は民間の学者で、彼の意見はとても政府の公式見解を伝えるものではない、と反論しておいた。
 昭和五十二年、今から三十五年前のことである。私が、崔国務総理との会見にこのことを持ち出したのは、丁度その一ヶ月位前に、沿岸三海里が十二海里に変更、韓国の沿岸三海里の主張でさえ不当と思っているのに、それを又、十二海里に拡張するとは、漁業資源の多いところだけに、影響するところ極めて大であると、漁民が強く反撥をしていたからであった。
 竹島の領有問題については、少なくとも徳川時代から、日本の領土であることを立証する様々な事実のあることを承知しているが、とにかく韓国がかの李承晩ラインの内側にあるとして、実効支配となるような事実を積み重ねて来ているのである。
 現在に至るまでの両国政府の応酬については、細かいことはわからないし、ここでは省略するが、国際司法裁判所に提訴すべし、としたことは過去にもあったが、韓国側が拒否した。関係国の了解なしには訴訟問題として採り上げることはできないという国際司法裁判所の規定に妨げられていた。昭和二十九年のことであった。
 その後も国際司法裁判所の提訴について同じような努力をしているということは聞いていないが、今回、政府は韓国大使の一時帰国と併せて国際司法裁判所への提訴を行うこととした、と新聞が伝えている。もっと早く、かつ、何べんでも提訴すべきだったと思う。
 韓国が国際委司法裁判所の場に竹島の領有権問題を取り上げられることを忌避している、その真意は、韓国側は司法の場では勝ち味はない、と思っているのか、と思わざるをえない。若し、假に自己の主張について絶対に自信を持っているのなら、何故、国際司法の場を避けようとするのか。全く理解し難い。
 領土問題は経済的な損得の観点からのみ取り扱うべきものではないことは言うを待たない。国の威信にかけてとことん自己の主張を明らかにして争うべきものであると思うが、如何。
 
 


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