back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2017.07.21リリース

第二百六十五回 <談合>
 又も震災復興事業十八社で談合の疑いが報じられている。農水のOB間で受注調整が行われている、と言う。
 私は、前にもこの欄で述べておいたが、談合はなくならないし、どんな規制をしても、密かに行われるに違いない、ということを記した。再び言う。談合はなくならない。無駄な努力をしない方が良い、と思う。
 なぜ談合が悪い、というか。法律で禁じているから、と言うが、その法律が意味がないと思っている。
 入札にすれば、入札価格が下がってくる事は理屈としては事実であろう。しかし、この頃は一社入札が少なくないと言う。これも談合に似ないが、実態は談合である。入札を一緒にかけるように話し合っているに違いないからである。
 談合がなぜ悪いのか。談合禁止の本当の目的が、受注価格の引き下げであるならば、最初に官側の見積価格を従来方式よりも一〜二割、実行可能で、手抜き工事などにならないように下げておいて、順番に、ないし話し合いで、実施会社を決めたら争いも少く、目的が達成られるのではないか。
 一般競争入札ならば兎も角、指定競争入札ならば、必ずと言ってもいい位関係者間で話し合ってくるに違いない。その調整役を担うボスまたはボス会社が大たい存在している。
 いつかこういうことがあった。私の議員現役の頃の選挙区の中である。ある公共事業を回って例によって談合が行われた。ところが、その結果外されて不満であったある事業者が、その談合価格よりも低い価格で入札をして、それに落札した。
 ところが、建設業協会のメンバーが集まってそのいわば談合破りの業者を協会から除名をした。入札のチャンスを奪ったのである。そこで、業者は公正取引委員会に訴えた。公取は協会に厳しい指示を出した。協会会長以下役員は総辞職をした。その上、談合破りの業者を協会から除名をした。除名をされた業者は公取に訴えたが、公取もどういうものか動かない。結局その業者が詫びを入れて協会に復帰し、役員はまたぞろぞろと昔の名前が登場する、という一幕があった。
 地方では談合は今でも当たり前になっているのではないか、と思われる節があるし、役所も知って、黙っている、のではないかと言う気がする。
 一社で入札をして実態は相談をしあって、工事を分けてする、という形もあるらしい。談合とは見えぬ談合である。
 こんなことをお互いにこそこそとやって、運の悪いのがつかまる、と言うようなことをいつまでも続けていい、のだろうか。
 どうぞ凡百の会社の中から適格者を選ぶ段階は入札ではないのであるから、企業主も多少の意志が入るにしても、あらかじめ公表するようにすれば、そう変えることはできないし、指名の名簿に入っている社は、いずれ自分の分が回ってくると思って安んじて仕事ができるようになるだろう。順番はクジで決めても良い。仕事の得・損は運と思えばよい。
 企業主は従前考えていた価格の線より必ず何%から下回る価格で契約ができると、変な裏交渉で巻き込まれることもないだろうから、こういうやり方は従来よりも優れていると思っている。
 いずれにしても私案に過ぎない。ご検討をお願いする。
 そのかわり、とても無理に低い請負金額とならないよう、業者側の合理的価格算定の努力を前提としてすることは言うまでもない。
 これで終わっていいのであるが、ついでに余談を付け加えておくと、一つは、よく新聞に予定価格の九八%とか九九%とかで落札をされているのは、談合の証拠であるとか書かれているが、それがおかしいなら、そもそも予定価格を一〇から二〇%位低くして、私の言った方式でやった方が確実に安く上がるのではないかと思う。
 ずっと前のことであるが、自民党の建設部会で、私が、公共事業で談合が行われていないなどとは誰も信じていないと言ったら、各省の担当官は誰も返答せず下を向いて黙っていたし、また、この会議には公取の役人も来ていたが、これまた一言も発しなかったことがあったことだけを付け加えておく。
 
 


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