back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2017.09.21リリース

第二百七十一回 <北方領土>
 日本が北方領土の返還をロシアに強く要求していることは誰でも知っている。と同時に容易なことでは返さないだろうとも思っている。
 私は、両国の経済協力などを否定するものではないが、それは飽くまでも北方領土の返還を前提とするものでなければならないと思っている。
 ところが、今月七日にロシア極東ウラジオストオクで日ロ首脳会談が行われるのを前に、テーマとなる北方領土での共同経済活動協議に関するロシアの事務方のトップ、モルグロフ外務次官は共同経済活動実現に向け、課題となる法的基盤整理について(北方領土で)ロシア法が完全に有効な現実がある。そこに矛盾してはいけないと、ロシアの法律を前提に議論を進める姿勢を示した。
 私は、それおいでなすった、と思った。
 日本としては、ロシアの主権を認めることなるために、双方の法的立場を害さない特別な制度の創設を求めて来た。
 私は、終戦後二年有余の不当なソ連抑留から祖国に送還され、爾来、抑留者の名簿の提出、慰霊巡拝、遺留品の返還等、日ソ間の協定に基づいて、毎年のようにモスコウを訪れ、関係官庁に、協定の完全実行を要求して来たが、未だ実現に遠い状態である。
 ソ連の高官連も北方四島は絶対に返還しないだろう、と言っている。
 私どもは非はソ連側にあったことを認めさせるべく外交的手段によって国際的環境を醸成し、わが国の敗戦を見越して一方的に不可侵条約を破棄し、戦勝国らしくわけ前を要求してくるようなソ連から北方領土の返還を要求しつづける決意を捨ててはならないと思っている。
 ロシアとの間で進められている北方領土の日ロ共同経済活動の落ち行く先が北方領土の返還にならないように如何なる努力も為すべきであると思っている。
 ロシアの口車に乗せられて、結局実を喪うようなことになってはならない、と固く信じている一人として、一言して置きたい。
 
 


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