back 理事長 相沢英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2009.08.21リリース

第四十八回 <「選挙の予測」>
 今回の総選挙ほど新聞や週刊紙が当落予測を載せていたことはないように思う。毎日のようにどこかで発表している。民主党の優勢、どころか大勝は変わらないという。果して然るか。
 もっとも、調査そのものが、どういうやり方をしているのかは不明である。昨日見たある週刊紙は全国で三万のサンプルで調査したと誇らしげに書いているが、とんでもない、三万といえば三〇〇小選挙区について、一区一〇〇人に過ぎないではないか。この程度のサンプル数でえらそうに予想を立てて貰っては迷惑である。多分、選挙人名簿からアト・ランダムに抽出したのではないかと思うが、この頃は名簿そのものを公開しないところが少なくないというし、又、電話をかけるにしても携帯電話しか持たない人が増えているし、しかも、これについては電話帳もないし、サンプル数を増やしても問題がある。
 私は、かつて調査社を使って有権者の一%のサンプルについて電話でアンケートをし、結果をとり纏めたことがあるが、この位サンプルをとれば、市町村ごとに、又市については校区ごとにかなりの投票傾向を把むことができたが、それとても、投票結果と比較してみると、かなり食い違っているところがあった。
 というのも、この程度のサンプル数では必ずしも充分ではないこと、アンケートに答える人は、自分が誰に投票するかということを知られたくないものも多いこと、何よりも投票までの数日間、場合によっては数十日間にいくらでも投票先が変る可能性があることなど、様々な要因があるからである。
 前にも書いたが、有権者の心理としては、やはり自分の一票がモノを言うことを期待するのであって、もう絶対に大丈夫という候補者の名前に書きたくないし、といって落ちるとわかっているような候補の名前も書きたくない、と思う人もあろうし、又、全くその反対に皆が書きそうならないその人にしようと思う人もいるだろう。
 選挙は怖い。本当にフタを開けてみなければわからないことが多いから。読者諸賢如何に思われるか。
 
 


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