back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2014.04.02リリース

第百七十八回 <与党>
 久しく前から公明党は自民党と協力関係にあり、閣僚も出している。
 公明党は創価学会員の全面的支援を受けているが、公明党の議員は必ずしも創価学会員ではない。一応政治団体と宗教団体とは区別するようになっている。しかし、世間では、両者は一体であると思っている人が多い。
 自民党と公明党はいわば友党の関係にあり、とくに各般の選挙では、公明党の支持を受けて当選している議員も少なくない。しかし、掲げる政策が両党完全に一致しているわけではないし、別政党である以上、完全に一致することはありえない。
 現実問題として今も両党の政策で相違しているところがあるが、選挙のことを考えて、自民党も時に公明党の要求を容れて政策を修正している。その辺が、自民党員にとって不満の原因にもなっているが、必ずしも表面化されていない。
 創価学会は絶えず与党サイドに立つことを意義していると思われる。いわば権力の座に近いところに位置していることが望ましいと思っている。
 そのへんは学会は敏感なので、選挙の際も微妙な行動調整を行っているようだ。
 創価学会員は選挙に際しては、投票所に出かけることを義務ずけているのか、投票所周辺でチェックが行なわれているようだし、候補者の氏名も指示されているとおりに書いているようである。それだけに、自民党の候補者も通常学会の支持をえたいのである。
 しかし、各府県ごと学会は、それぞれの本部の指示で行動しており、投票に関する指示も短期間に確実に行われることから、末端では、投票日直前まで票が読めないこともある。
 自民党は各宗教団体から支持を受けていたし、受けていたが、ある年の参議院議員の選挙から態様が大きく変わって来た。
 参議院選挙の全国区は、各政党の得票数に応じて、ドント方式で当選者の数が決められたが、候補者には順位が公表されていて、各党の当選者数だけ、上から当選が決って行くようになっていた。
 その頃、比例区の定数は一〇〇名で半数改選であるから五〇名が当選者数になっていた。自民党は二〇人前後の当選者を出していたが、その年、その候補者の順位を決める際、各宗教団体の候補者の順位を大幅に下げたのである。順位を下げておけば、その候補者を支持する宗教団体がそれが当選するようにより一層努力して票を集めてくれだろうという計算であったと思う。
 その作戦が間違っていたとは思われないが、順位を下げ過ぎた嫌いがあったのか、それらの宗教団体の支持候補が殆んど落選するという結果を招いて仕舞った。
 結果的に見れば、作戦の大誤算となったわけである。それで、一挙に宗教団体の自民党支持の熱が醒めて了ったような気がする。もともと宗教団体それぞれによって自民党の支持熊様は違っていたが、全体としていわば関係が冷えることになった。
 それだけに、創価学会の纏った票は大へん貴重なものと思われるようになった。
 正直言って、自民党が一宗教団体である創価学会に振り回されるようになることを心よくしているわけはない。が、その硬い票がどっちを向くかによって、当落が決るような候補者もいるものだから、内心面白くなく思っていても、そんな顔も見せず一見仲よくしているところが多いのである。
 自民党としても、公明党と手を結ばずに議席の過半数を制することができれば、つまり自民党だけで単独過半数を占めたり、或いは他の政党と堅い連繋のもとに政権を保つことが出来るようになれば、公明党の出方次第で、これを切ってもよい、と思うこともできると思う。
 そこは、公明党も心得たもので、時には自民党以外の政党と連繋してもよい、という態度をひけらかすのである。公明党が絶えず与党でありたい、と思うのは、宗教団体である学会が権力から遠くにあることのないように考えているからで、離れたら、行政のいろいろな面で不利な取扱いを受けやしないか、と心配をしているからではないのか、と思う。
 自民党が宗教色の極めて濃い政党と連繋を組むことについての問題点は、いろいろあるが、快しとしない根っからの自民党員も少なくないことは言うまでもない。
 
 


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